漆塗りについてABOUT JAPANESE LACQUER
鎌陽洞では、先代から受け継がれてきた「匠」の技を守り、職人が日々切磋琢磨しながら更なる技術力の向上に努めております。 鎌倉彫の基本である磨き、蒔物、堆金、干口の色のバリエーションの豊富さと色絵という塗分けてぼかす秘伝の技法で、皆様に満足して頂ける塗り加工を施しております。
また、経年経過による発色や色合いの研究、耐久性の高い下地塗りの開発にも取り組んでおります。
漆塗りの工程HOW TO LACQUER
鎌倉彫は、他の伝統工芸と同じく「彫り」と「塗り」をそれぞれの職人が分業で行います。
その「漆り」の工程を鎌陽洞内にある専属塗工房にて作業を行っています。
今回は、三橋式七式塗りの堆紅(ついこう)という塗り工程を例に、素彫りの状態から完成までの工程について説明していきます。
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- 1.素彫りの鎌倉彫
- 漆塗りをしていない素彫りのお盆に漆塗りを施していきます。
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- 2.こくそ
- 傷やふしなどを、漆・木粉・糊・綿を混ぜた「こくそ」で補修します。
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- 3.こくそ彫り
- こくそが固まったら元の状態になるように彫ります。
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- 4.角丸め
- サンドペーパーをあて、彫りの角を柔らかくします。
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- 5.木固め
- 生漆を木地に吸わせます。 この行程は2度行います。
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- 6.錆付け
- 生漆ととの粉を混ぜた錆というものを付け、凸凹を修正します。この工程は2~3回繰り返します。
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- 7.地塗り
- 生漆を塗ります。
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- 8.蒔錆
- 地塗りが乾く前に粉末状のとの粉を蒔き込みます。
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- 9.錆研ぎ
- 石とペーパーで錆の部分を研ぎます。
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- 10.蒔錆研ぎ
- サンドペーパーをあてて、なめらかな肌と呼ばれる面を作ります。
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- 11.中塗り前
- ブラシを彫り際にあてます。これで下地が完成です。
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- 12.赤中塗り
- 朱合漆と朱の粉を混ぜたものを塗ります。
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- 13.節掃い
- ペーパーでゴミを取り除きます。赤中塗りとこの工程を2回繰り返します。
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- 14.上塗り(1回目)
- 透明度の高い梨地漆と朱の粉を混ぜたものを塗ります。
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- 15.上塗り(2回目)
- 繰り返し、透明度の高い梨地漆と朱の粉を混ぜたものを塗ります。
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- 16.炭研ぎ(炭当)
- 駿河炭を使い細かい凹凸をとります。
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- 17.艶消し
- 炭粉を水に溶いて塗り、ブラシをかけます。
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- 18.斑出し
- 綿布を使い、炭粉で細かい部分を研ぎ出します。
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- 19.油胴摺り(1回目)
- との粉・油で磨きます。
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- 20.摺り漆
- 漆を摺り込みます。
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- 21.油胴摺り (2回目)
- 油胴摺りと摺り漆を2~3回繰り返します。
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- 22.仕上げ
- すすだまを漆でからめ、彫り際の艶を消します。
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- 23.完成
- 長い工程を経てようやく完成です。